第104景 「小梅堤」
(安政四年(1857)二月 冬の部)
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  本所の北の隅田川東岸の小梅村である。曳舟川の始点近くの堤から北を望んでいる。
  曳舟川の始点の近く、北十間川から北へ行き、右方向へ流れを曲げて後に直線に流れる あたりで、現在の墨田区押上2丁目1番地に相当する。3本の土橋は、手前から八反目橋、 庚申橋、七本松橋。川の湾曲は実景のままであるが、実際にはもう少し緩い。彼方の視界 の外には、4番目の橋が架かっている。その橋を左へ折れると秋葉神社へ至る。遠景の地 平線の中央の松の木立が秋葉神社の杜のようである。
  右手前の色づいた葉をつけた木々は、低湿地に自生し成長も早い榛の木(ハンノキ)である。 堤を侵食から守るだげでなく、収穫時の稲を干す稲架の材料にもなった。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による