第103景 「千住の大はし」
(安政三年(1856)二月 冬の部)
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  奥州街道を旅する人々が、江戸への出入口として利用した橋である。絵は、橋を挟んで 町が南北に広がる様子がわかる南側(荒川区側)の岸から北西の上流側を見ている構図で ある。
  馬に乗る人、駕籠に乗る人、連立って徒歩で橋を渡る人等描かれた人物は色々であ る。川岸には、船の舫も多く見られ、材木問屋も数多<あり、筏で運ばれた材木が貯留 されているのが見られる。
  遠景の山は、秩父連山の武甲山との説もあるが、ヘンリー・ス ミス氏は、広重が千住大橋が日光街道への出発点の象徴として、雲を配置して上下で景色 を重ね、旅人の連想する視線を考えて、日光連山を書き込んだ、と解説する。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による