第97景 「小奈木川五本まつ」
(安政三年(1856)七月 秋の部)
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  小名木川北岸の五本松(と呼ばれた一本の名松)の川に張出した枝を大きく描き、小名木川を 遠くまで望んでいる。絵の中央、松の枝の間から見える北岸の橋は大島橋でそこが横十間川 との交差点にあたる。実際は直線の小名木川を曲線状に描いたのは、縦長の画面で遠近感を 出すためのデフォルメである。行徳舟の乗客が手ぬぐいを流している細かい描写もある。 広重と斉藤月岑との交流記録から、この描写も含め「江戸名所図会」の図柄の使用は了解済との見方もある。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による