第95景 「鴻の臺とね川風景」
(安政三年(1858)五月 秋の部)
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鴻の台は下総台地の西端にあたり、その麓を利根川が北から南へ流れていた。幕府は江
戸を洪水から守るため、南流していた利根川を東流させる工事を行ない、この水路変更に
より、大型船で運ばれて来た物資は、銚子で小型船に積み替えられ、利根川を遡って関宿
から利根川(別称江戸川)へ入り、行徳の先の新川と小名木川を通って江戸へ運ぶことが
できるようになった。そのため白帆をあげて荷物を運ぶ舟で大変賑わっていたという(人
文社)。上り下りの舟を見下ろしながら葛西の田野から富士山までもを一望できる景勝地
であり、古城や古跡も多くあったので、江戸東郊の行楽地の一つであった。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による