第91景 「請地秋葉の境内」
(安政四年(1857)八月 秋の部)
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  ヘンリー・スミス氏(「広重名所江戸百景」岩波書店)によると、絵は松葉に黄色味を、楓の紅 葉はうす桃色に仕上げられていて「社頭に青松丹楓おふし。晩秋の頃池水に映じて錦をあ らふがごとく奇観たり」(『江戸名所図会』)に刺激されたとある。水に映る木の影の色調を 丹念に和らげていて、広重独自のやり方で影のもたらす視覚上の効果が工夫されている。 池が境内の西側で、別当の満願寺の北側にあったとすれば、北東を望んでいることになる。
  絵の左下に茶屋で小道具を散らして写生をしている人物は広重本人と思われる。広重は 安政3年(1856)3月28日に剃髪し、以後僧体となった。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による