第83景 「品川すさき」
(安政三年(1856)四月 秋の部)
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  南品川から目黒川に沿って「洲崎」が伸びていて、ここには主として漁師たちが住んで いた。洲崎の北端には水の神・弁財天を祀る洲崎弁天社が建っていて、宿場からは目黒川 に架かった「鳥見橋」を渡って参詣することができた。
  特に街道の東側に建った料理屋や妓楼から眺める景色は絶景で、最も有名な妓楼「土蔵 相模」がこの絵の左下に描かれている。
  品川沖の海中に見える2基の土盛りは、黒船から江戸城を守るために近くの桜の名所・ 御殿山を削り取った土で築いた御台場である。御台場の辺りに碇泊している舟は檜垣廻船 か樽廻船の類であろう。ここで荷揚げされた物資は武藏野方面へ運ばれる。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による