第77景 「鉄炮洲稲荷橋湊神社」
(安政四年(1857)二月 秋の部)
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  近景に弁才船2艘の帆柱2本を、その向うに瀬取舟が河岸沿いの蔵へ積荷を配送する様 子を描く。積荷は明らかに下りものの清酒樽である。秋口には新酒が上方から到着した。「新 走(アラバシリ)」は新酒到着を意味する秋の季語であった。弁才船の太い帆柱は松明柱と呼ば れ責込という鉄のタガで束ねた寄木である。
  手前の水面は江戸湾に注ぐ越前堀(現・亀島 川)の河口で水面の右手には高橋が架かっていた。ここに描かれた正面の水路は八丁堀で 手前の橋が稲荷橋、さらに上流に中の橋が見える。稲荷橋の右手に船役所があった。 稲荷橋の左手、朱塗り玉垣の向うは鉄砲洲稲荷で社殿の屋根がそびえている。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による