第57景 「みつまたわかれの淵」
(安政四年(1857)二月 夏の部)
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  この絵は旧新大橋やや下流から隅田川右岸を描く。従って、芭蕉記念館展望公園からの 説明となる。
  正面やや左の橋は箱崎川の永久橋、その左は箱崎にあった田安家屋敷、右側の朱塗り門 は堀田備中守(切絵図)、あるいは安藤長門守(重ね地図)屋敷であろう。屋敷の左は浜町 川の川口橋。隅田川の流れの中央に描かれた、芦の生える浅瀬が中洲の名残である。
  「わかれの淵」とは隅田川と箱崎川の分れ流れるところから呼ばれた。隅田川には、米 俵、酒樽、木綿を積んだ荷船が描かれ、猪牙船や釣船も遠くに見えている。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による