第51景 「糀町一丁目山王祭ねり込」
(安政三年(1856)七月 夏の部)
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絵は半蔵門の南側から、桜田堀越しに半蔵門を眺めたものである。当時の風景がそのま
ま残っている。絵は山王祭の山車(ダシ)の行列をえがく。
一番手は南伝馬町(現・中央区京橋の中央通りを挟んだ地区)の猿が乗った山車。二番
手は大伝馬町の諌鼓鳥(カンコドリ)の出車。まさに一番手の山車が半蔵門からお城に練りこも
うとしているところである。ずっと手前の諌鼓鳥が後に続かんとする。山車の順序には諸
説があり、多くの解説書に、猿と鳥の順序が逆、云々が書かれている。
「鶏の尾も太鼓の吹き流しも、みんな半分しか描かれていない。これは半藏門へ入ってい
くところなので半像と酒落たものらしい」(宮尾しげを)という。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による