第49景 「王子不動之滝」
(安政四年(1857)九月 夏の部)
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  王子七滝の一つで泉流の滝とも呼ぼれ、正受院本堂の裏から坂道を下った石神井川の 切立った崖にあった。広重は、その堂々とした重量感溢れる滝を描いている。 菊池貞夫氏は北斎「諸国滝巡り」に刺激された構図としている。
  老女が竈を用意し湯茶の接待を商売にしているのか、床机の上の客に茶を出している。 別の床机には、脱がれた着物があり、滝浴の男のものと思われる。また、江戸時代なりの 暑さ対処で涼みに来たのか、滝の飛沫を遮る番傘を持った芸者が2名、 滝の周辺の点景として描かれている。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による