第48景 「水道橋駿河台」
(安政四年(1857)閏五月 夏の部)
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  本来、上水掛樋の屋根の一部が見えても不思議ではないぎりぎりの位置、坂の途中から、 西南の富士を望んでいる。この方角に拡がる街並みのほとんどが旗本・御家人の屋敷。吹 き流し、鍾馗幟、旗など武士階級の「端午の節句」祝い方が分かる。鯉のぼりは町人の祝 い方とヘンリー・スミス教援は説く。
  左端に江戸城の櫓。坂の途中に初節句の贈り物「上り兜」を持ち運ぶ若い男。神田川を 渡る水道橋の上に乗馬の武士とその一行が見える。
  松の植えられた土手は神田川拡幅工事の残土を盛り上げたもの。現在、その一部の上を 鉄道線路が走っている。
  この絵に描かれた水道橋の南岸橋台が水道橋下流側に隣接して現存する遺構である。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による