第45景 「八ツ見のはし」
(安政三年(1856)八月 夏の部)
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  「八ツ見のはし」といわれた所以は、西に道三堀の銭瓶橋、道三橋、北に外堀の常盤橋、 南に外堀の呉服橋、鍛冶橋、東に日本橋川の日本橋、江戸橋、それに一石橋を加えて 八橋が見えたから。
  前面に外堀の水路が拡がり、荷物を運ぶ瀬取船は二人の船頭が操っている。漁船が棹を 立てて舟を止め四つ手網をおろしている。左の漁船は四つ手網が上がっている。奥行き 方向が道三堀で、手前に銭瓶橋、奥に道三橋が見える。中景は江戸城、丹沢の後ろに 富士山がそびえる。橋のたもとのしだれ柳。燕が飛び交う。いましも傘を差して橋を 渡る人がいる。東都名所八ツ見之橋真景三枚組では鳥瞰図で八橋全部を描く。
  鍬形寫ヨ「江戸一目図屏風」(縦176.Op,横352,8p,1808年制作、津山郷土博物館蔵)には 一石橋北詰に柳の巨木が描かれ、この絵の柳と適合する。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による