第43景 「日本橋江戸ばし」
(安政四年(1858.1)十二月 夏の部)
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  町方の橋で擬宝珠が使用できたのは日本橋と京橋のみだった。この絵を鑑賞する 江戸の市民にはそれが刷り込まれており、たちどころにクローズアップが日本橋、 遠景が江戸橋と理解できた。日本橋から下流側を見た絵である。江戸橋の手前は 木更津河岸。江戸橋の背後は小網町の白壁の土蔵群。クローズアップされた日本橋の 高欄の間に停泊する五大力船(房総・伊豆と江戸を結んだ)が見える。手前の橋上は 捧手振りの担ぐ盤台とそれに載った初鰹である。これだけで初夏の季節感を共有できる。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による