第15景 「日暮里諏訪の台」
(安政三年(1856)五月 春の部)
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  描かれた場所は諏訪台の崖縁、諏方神社の境内である。2本の杉がそそり立ち、 竪版の画を引締めている。
  北東に展開する広大な眺望を楽しむ見物客が思い思いに床几に座り、給仕を受けている。 山の上から満開の桜を愛で一献酌み交わし楽しんでいる様子がわかる。
  手前中央に上り下りする人が描かれた坂道は、現在諏方神社からJR西日暮里駅に向う坂道 として健在である。眼下の家並みは、新堀村、谷中本村(現・西日暮里、東日暮里)であろう。 中景は広々した田圃である。中程に黄色い稲叢(イナムラ)が見える。
  遠景の山は、右手が筑波山の双耳峰、左手が日光連山である。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による