第14景 「日暮里寺院の林泉」
(安政四年(1857)二月 春の部)
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  日暮里には、東叡山の領地であったことから、数多くの寺が建っている。山の傾斜を利用して 形態を整え林泉を構えた。
  この絵は青雲寺・修性院・妙隆寺の花見寺三寺院の中央、修性院の庭を描いた。西側(谷側)の 六阿弥陀道側から、東の崖上を望んでいる。
  近景右側の帆掛船の刈込みが修性院の呼物だった。平地と斜面からなる庭園には桜・ツツジが咲き、 見物客がそぞろ歩いている。斜面には石組や石碑も見られる。斜面を上がると裏門があり、 崖口の地面が切れている。裏門の先が高台の道で絵の左外に諏方神社がある。裏門の左の建物は 「三十番神堂」で番神という経典の守護神のお堂である。
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「東京シティガイド江戸百景グループ」による